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きっかけは映画館
第21章 気がつけば…
俺はバスルームに消え、麻里絵ちゃんは…そのうち洗面所に来るだろう。
麻里絵ちゃん、今日もごめんなさい。
先に謝って…処理した。
こんなに、堪えて、切ない想いにかられるなんて…
……経験がない。
そのうち本当に爆発しちゃうんじゃないだろうか。
呆気なく放出した愚息の体調まで心配した。
麻里絵ちゃんがもう洗面所にいる。
さて…さすがに、まっ裸じゃ出れないだろう…
「麻里絵ちゃん…タオル、とって…」
………
麻里絵ちゃんは無言のまま、バスルームから伸ばした俺の手に、バスタオルを握らせてくれた。
洗面所に出ると、麻里絵ちゃんは真っ赤な顔をして、鏡越しに俺を見る。
「お…はよ…ぅ…」
シャカシャカと歯磨きしながら挨拶してくれる。
「おはよう、昨日は眠れた?」
「う…ん…、ありがと…」
ああ、この笑顔だけでいい。今日、1日頑張っていける。
………ぐぅ…
って正直な腹は無理だったみたいだ。
「ヒジオ、今日は会社の近くの駅で朝食にしよう?
あそこなら、朝からボリュームあるメニューがあるから…」
「ああ、麻里絵ちゃんがいいなら、そうしよっか。」
ブォォオオオ…
ドライヤーを掛けて髪をセットする俺を…チラチラ見てくる。何か変か?
麻里絵ちゃんが化粧を始めるようだから、さっさと済ませて洗面所を後にした。
麻里絵ちゃんと一緒に通勤する。なんか、結婚してるみたいで幸せ…
そして、麻里絵ちゃんが薦める喫茶店でボリューミーなハンバーガーを食べる。
すげぇデカくて、フォークとナイフがついてて、同じものを頼んだ麻里絵ちゃんはそれを使って食べてるが、
俺はそれじゃあ食った気がしないから、普通にかぶり付く。
麻里絵ちゃんがすげぇ見てくるけど、でけぇ口とか思ってるんだろうか…。