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きっかけは映画館
第21章 気がつけば…
朝、ヒジオに抱き締められて目覚めた。
また…当たってる…
我慢するのって辛いんだろうか…
ヒジオはまた、さっさとバスルームに消えた。
私も早く支度しなきゃ…
洗面所にいくと…
バスルームからヒジオの腕が伸びてきて…
「タオルとって…」
出てきたのは腕だけなんだけど、湯気と一緒にヒジオの湯上がりの匂いもして…
ズクン…
何だか胸がときめいた。
この人と、一緒に寝たんだ。
何故かそう思った。
ヒジオはもう当たり前に、腰タオルで出てきたけど…
さっきまで硬く擦り付けられていたものは、大人しくなっていて…
って…どこ見てんのよ…私。
ドライヤーで髪を乾かすだけなのに、水滴を纏った体が色っぽくて…
サラサラと落ちる髪が、何だか幼く見えて…
プライベートのヒジオを知ってるんだと、どうしてか優越感に浸って…
髪をセットして大人の男に変身したヒジオは、洗面所を出ていった。
何だろう…昨日、裕司と喋って、自分なりに終止符を打ったからって、いきなりヒジオが格好よく見えるなんて…私…変かなぁ…
ヒジオのお腹がグゥと鳴って、会社の駅前のバーガーショップを思い出した。
あそこなら、モーニングタイムでもボリュームのあるバーガーが食べれる。
会社の近くで誰かに見られるかも…なんて心配はしてられない。
ヒジオは私のために夕飯抜いて、ずっと側にいてくれたんだから…
ショップでヒジオと同じサイズのバーガーを注文すると、ヒジオはちょっと驚いていたけど…私だってお腹空いてるんだもん。
しかし、プレート一杯のタワーみたいなバーガーをナイフで刻んでやっつける。
ヒジオを見ると、大きな口を開けて、かぶり付いている。手も大きいから…具材がこぼれることもない。
当たり前のことなのに、何だか色気を…
いや、何かを連想させる仕草でもないのに…
エロく見えた。
私…ヒジオに、惹かれてるのかなぁ…
すぐに気付かされる事件に遭遇するとは…
この時は知らなかった。