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きっかけは映画館
第21章 気がつけば…
「先輩…ブレスレット可愛いですね。」
「えっ…あ、ありがとう…
でも、会社にしてくるのは、どうかなって…」
「全然、似合ってて素敵ですよ?
麻里絵先輩にぴったりな薔薇だなって…」
「そ、そう?ありがとう。」
企画部の若手女性社員は私と優希ちゃんしかいないので、あまりファッションの話とかしない。
私が疎いだけなのかもしれないけど、優希ちゃんのネックレスとブレスレットのチャームにすら気がつかなかったし…
だからか、他の男性社員も服装のことは、あまり口にしない。
余計にどう思われているか…気にしてるようで無頓着な私…
「それって、どこかのローズガーデンに出掛けたんですよね?」
「グフッ…そ、そうだけど…何か?」
「携帯のストラップも、その時のものですよね?」
「ん…うん…」
「あ〜、もう〜、ズバリ聞きますね。
麻里絵先輩と土方さんって…どうなってるんですか?」
「んグッ…ど、どうも…ないわよ…」
「だって…土方さんも、色違いのストラップ、してましたよ?
ブラックで渋くて似合ってましたけど…
男性が薔薇の柄って…あまりないですよね?」
「そ、そうかな…見間違えじゃない?」
「んなわけないじゃないですか。あの日ランチで麻里絵先輩のを見て、素敵だなって目を着けてて、
夜に土方さんとライン交換するとき、同じものが着いてたんですよ?」
「そ…そう…」
「それに…、麻里絵先輩の服、一昨日と一緒ですよね。」
「昨日と…じゃないでしょ?」
「麻里絵先輩が週のうちに、例えブラウスでも、同じもの着てるの、見たことないのに、それ、一昨日、土方さんと飲んだ日のと、全く一緒です。
どうなってるのかなぁ…
何で、昨日が違って…今日が一緒なんだろ〜」
…………
「麻里絵先輩、私、先輩としても麻里絵先輩のこと好きですけど…
女性社員も少ない部署だし、友達っていうか、プライベートも含めて親しくしたいんです。
だから、晃とのことも麻里絵先輩に一番にお知らせしたし…
麻里絵先輩のことも気になるんです。」