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きっかけは映画館
第21章 気がつけば…
会社に戻れば、仕事の山に、優希ちゃんと手分けして集約作業に取り掛かる。
今月中には骨子を決めて、収益見込みを添えて規模を確定させなければならない。
一気に時間が過ぎ、優希ちゃんを初め、ポツポツと人が帰っていく。
はぁあ…ヒジオどうしてるかなぁ。
そろそろ集中力の切れ間だとヒジオにラインした。
ピローン…
【1つ大きな商談が決まって、今から乾杯だけ付き合う。こないだの喫茶店で待っててくれる?】
了解だけ返して、やはりこれ以上は身が入らないと帰り支度をした。
昨日の喫茶店が満席で、向かいの店の窓際に座る。
ヒジオが通りかかったら、出て行けばいいから…
ピローン…
【待たせて、ごめんね。もう出るから…】
本当に席に着いて30分もしていないだろう。
無理に抜けてくるんだろうな…
この辺で飲んでるなら、10分もしないで来るだろう。
いつでも出れる用意をして、目を皿にして見ていた。
高身長のヒジオが通りの向こうから、こっちに歩いてくる。
あっ…いたっ!
店を出ようとした時だった。