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きっかけは映画館
第21章 気がつけば…
「それで…その場かぎりの付き合いってのを申し込まれてたわけね。」
怒ってるのか、麻里絵ちゃんはパクパク食べてグビグビ飲みながら話す。
まずったなぁ…その場かぎりなんて言葉遣わなきゃ良かった…
地雷を自分で埋めたくせに、隠しもしてないのに…踏みまくってる…
「あの…麻里絵ちゃん…本当に、あそこでも言ってたけど、俺、麻里絵ちゃん一筋で、本気だから…
しつこい女で手こずってたけど、断ってただろっ…」
「うん、しつこい女だった…
だから言ってやった。ヒジオは私のだって…」
「ま、麻里絵ちゃん?
だから…俺に…直接、言って?」
麻里絵ちゃんはスクッと立ち上がり、冷蔵庫からおかわりを持ってきて…プシュッ…
注ぐ間も与えてくれず手酌して、グビグビ…
ッ…酒癖…悪いのかなぁ…そんな麻里絵ちゃんでも可愛いんだけど…
「ヒジオは、私と待ち合わせじゃなかったら、肉食部の女に喰われちゃったの?」
「食肉部…ね…
麻里絵ちゃんと約束してなくても帰ったよ…
俺、一年以上してないんだよ?
それに、麻里絵ちゃんと一緒に眠る時だって…死ぬほど我慢してるんだよ?
なのに何でこの期に及んで、麻里絵ちゃん以外としなきゃいけないの?
間違ってもそんなもったいないこと出来ないよ。」
「ふうん…」
「信じてないの?」
「うん?ヒジオ…いい男だから…モテるんだろうなって…」
ヤバい…嬉しい…でも、はっきり聞きたい。どう思ってくれてるのか…
「麻里絵ちゃんにモテなきゃ…意味ないよ。」
「優希ちゃんにね、昼にどうなってるか、聞かれたの。ストラップがお揃いなのも、朝、バーガーショップで一緒なのもバレてて…
友達として付き合ってるって…
その時は、何ともなく言えたんだよね。
優希ちゃんは、ヒジオが精力強そうだから可哀想だって…」
ッグッ…優希ちゃん…それは…事実だけど…酷いな…
「その時は何ともなかったんだけど、肉食部の女に絡まれてるヒジオが、私のこと一方的に好きみたいに言ってて…
何か嫌で、肉食部に奪われるのも嫌で…気がついたら口走ってたけど…何言ったか…自分でも……忘れた。」