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きっかけは映画館
第23章 リベンジ?


あの嵐の夜のシーンが放送される。
真っ昼間の放送だから、キスシーンと風景とラブシーンがランダムカットだけど、見た俺達には再現される。

俺は、痴漢騒ぎの初日のように、繋いだ手を麻里絵ちゃんの膝頭に移動させて、人差し指でもくるくるなぞる。

………っ

麻里絵ちゃんが息を飲む。

テレビを消して、でも視線は反らしたまま、訊いた。


「昨日、歯磨きしながら、煽ったこと…覚えてる?」

「ん…」

「確かめてみる?」

「ヒジ…オ…」

「嫌だったら…すぐ言って…愛してる。
本当に、一目惚れだったんだ…」


肩を引き寄せ、向かい合うと麻里絵ちゃんの瞳が濡れている。

親指でその柔らかな下唇を撫でる。

大事にしたい…
その思いが伝わっているか…
どうやって確認するのだろう。

今更ながらにそんな事を考え、唇をなぞっていると、麻里絵ちゃんの瞼が静かに閉じられた。


さっきまで、馬鹿みたいに盛っていたのに、ドキドキしながらも、何処か冷静で、顎に人差し指も添えて引き揚げる。

映画のワンシーンじゃないけど、時が止まったように、スローモーションのように、指で確認した柔らかさに、唇を重ねる。


ピクッと震えるから、唇を離すと、麻里絵ちゃんはまだ瞼を閉じていて、
受け入れられていると確信する。

今度はもう少し長く唇を重ねる。
いい大人なのに麻里絵ちゃんも俺もドキドキしていた。

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