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きっかけは映画館
第27章 おうちで映画
シャワーを浴びてリビングに戻ってくる。
ヒジオは私を抱えてバスルームに行き、風呂椅子に座らされて洗ってくれた。
確かに疲れてたけど、至れり尽くせりの神対応に申し訳なくなってきた。
体を拭いてもらって、ワンピースの部屋着をスポッと被せられて手を引かれる。
あのまま微睡んだら、映画が観れなくなりそうだった。
ヒジオが選んだのは古いアクション映画、タイトル通りスピーディーな展開だ。
偶然居合わせた男女が、ハプニングに巻き込まれ、お互いに意外な能力を発揮してフォローし合い、問題をクリアしていく。
そう言えば、ヒジオが申し込んだサイトのアクション映画の体験談に、手を繋ぎながら、一緒に手に汗握るなんて書かれてたって言ってたけど、
並んで座ったヒジオに肩を抱かれ、私はヒジオに寄りかかり、ヒジオの遠い方の手を繋いでいる。
シーンに合わせてヒジオが強く肩を抱いてきたり、引っ張られたりと、臨場感満載だった。
だからか私ものめり込んで、ヒジオにしがみついたり、頭上から物が降ってくるシーンで、つい身を屈めてしまったり…
ヒジオは、『可愛い』と笑いながらも、本当に頭をガードしてくれていた。
3Dより超臨場感のあるホームシアターに二人して笑いながらも観ていた。
ラストシーンでは、走行中のバスの床板を外し、ロープで結んだ床板に二人抱き合いながら脱出するのだけど、ヒジオは私を覆うようにしながら観ていた。