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きっかけは映画館
第27章 おうちで映画
『アクシデントで知り合った男女は長続きしない。』
なんて、キスしながら脱出を果たすんだけど…
「ヒジオ、こんなアクシデントなんて、逆にあり得ないよね〜。」
「そう?俺は結構、麻里絵ちゃんをアクシデントから守ってるよ?俺自身がアクシデントの元凶の時もあるけど…」
なんて訳わかんないことを言ってた。
「でもさ、アクシデントなんて、ない方がいいけど、日常でもさ、お互い届く距離に居ないと物理的に助けられないことがあるよ。」
ヒジオが自分の遠距離のことか、裕司の転勤のことかわからないけどポツリと言った。
「それって、誰のこと?」
私はつい訊いてみた。
「え?俺と麻里絵ちゃんのこと、麻里絵ちゃんが家で一人泣いてても、何処かで怖い思いしてても、側にいなければ気付かなかったり、助けてあげられないなって…」
元彼、元カノの話だと思っていたけど…
「それって、一緒に暮らしたいってこと?」
「それもそうだけど、心の中とかも見えないしさ、話してもらわなきゃわからないこともある。
だから、お互いに遠慮しないで何でも話していきたいなって…」
ヒジオが言ってたことを思い出す。
元彼元カノの陰に怯えてたら的な話をしたときに、
『なら、初恋同士しか幸せになれないってことになるよね?』
って…
ヒジオと新しく始めればいい。そして過去の経験として生かしていけばいいんだ。
私はヒジオにギュッとしがみついた。
「麻里絵ちゃんてさ、小っちゃくて可愛くてフワッとしたイメージなのにね。真面目で何でも一人で抱え込む感じがする。
あの薔薇みたいにね、中身がギュッと詰まってるの。
だけど全部抱え込んだら爆発したり、疲れてしまうよ?
だからね、いっぱい甘えて欲しいんだ。今だったら仕事のこととかもね。」
「う…ん…、私って甘え下手なのかな…」
「あ、甘えるのは俺にだけでいいからね。」
「っふふ…
ヒジオがソーシャルアドバイザーだから、人との接し方が上手なんだと思ってたけど、ヒジオが優しいからソーシャルアドバイザーに向いてるんだね。」
ヒジオは照れていたけど、
「出た、ソーシャルアドバイザー…」
って笑ってた。
すれ違わないように、沢山話して、一緒にいればいいんだ。