- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
きっかけは映画館
第30章 映画のあと…は
ヒジオが胸に顔を埋めている。
近くて恥ずかしい。
ブラジャーを下から支えてカップから盛り上がる部分に鼻から下を埋めて、顔を押し付けている。
屈んでいるせいで肩から背中までが見えている。
筋肉が動くのが見える。
男らしい体付きと不釣り合いな行動のアンバランスさが愛おしい。
その肩甲骨に…そっと触れた。
ヒジオは、ギュウッと私を抱き締めて、ブラジャーの隙間に鼻先を侵入させようと苦労している。
ブラジャーを外せばいいのに…と思ったけど、今はそうしたいのだろうと好きにさせて、私もヒジオの背中を撫でたり髪に指を通したりしていた。
「麻里絵ちゃんてどうしてこんなに美味しいんだろう。」
ヒジオはため息を漏らしながら言う。
ヒジオが私を後ろに反らせて顔を上げ、答えを待つように覗き込んでくる。
その瞳が情欲に燃えていて、まっすぐに私を見ているのに炎のように揺らめいていた。
「私……味しないよ?」
「嘘だ、甘い香りがする。柔らかくてふわふわの…お菓子の味がする。」
真剣に言われて、どうしたらいいのかわからずにいると、グイッと後頭部を引き寄せられて唇が触れる。
押し付けて唇を擦りあわせるように動かされ、私は唇を少し開く。
ヒジオに愛されている…と実感する。
ヒジオは下唇と上唇を交互に唇で挟むようにキスしてきた。
触れ合いが気持ちよく、力が抜けてしまいそうで、ヒジオの肩を掴むと…
ヒジオの手が腰に回り、グイッと腰を引き寄せられた。