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きっかけは映画館
第31章 日曜日


「もう出る…」

「はい、かしこまりました。」

麻里絵ちゃんの脇に手を通して立たせるとおぼつかない足取りで立っている。
手を差し出して湯船から出させて洗面所まで誘導する。

バスタオルにくるみ、椅子に座らせて麻里絵ちゃんの髪を乾かした。



「人にしてもらうのって気持ちいいね。」

麻里絵ちゃん天気は回復中。
なのに、『人にしてもらう』で麻里絵ちゃんが昨夜俺の上で揺れていたことを連想してしまった。


「ヒジオ?」

「ん?」

「何考えてるの?」

「昨日の麻里絵ちゃん可愛かったなぁって…」


つい、言葉にしてしまった。




「……ヒジオの…スケベ…
っ痛っ…」

麻里絵ちゃんは鏡越しに言えばいいものを、振り向いて睨んで、腰を捻った。

「ごめんなさい…」

うぅ…

「麻里絵ちゃん、今日は1日、ゆっくりしてていいから…」

「ヒジオご飯作れないじゃん。」

「横に座って作り方だけ教えていただければ頑張ります。」


急に姿勢を正して敬礼するヒジオの腰タオルが外れた。

キャアアアアアッ…


せっかく回復傾向に持ち直したのに、麻里絵ちゃんは顔を隠して叫んでる。


「昨日さんざん見たじゃん。」

思わず言った一言で鏡が割れるほどの睨みがきたけど、麻里絵ちゃん、どんなに怖い顔作っても可愛いんですけど…




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