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きっかけは映画館
第31章 日曜日
被るだけの部屋着を被せると服で隠して中でバスタオルを抜く。
ああ、また殻に閉じ込めちゃった、と反省した。
「麻里絵ちゃん、フレンチトーストを教えてください。」
ヒジオはキッチンに椅子を置き私を座らせ、本当に一人で頑張るつもりだ。
そんなに怒ってないけど、腰も痛いし作ってもらおう。
分量と手順を説明すると段取りよく液を作り、パンを浸していく。
私はレタスを目の前に出してもらい、ちぎるだけサラダを…
「麻里絵ちゃん、レタスに罪はないよ。」
ベッドからのヒジオとのやり取りを思い出してちぎっていたら、少し細かくなっていた。
「ヒジオ、胡瓜とごま油とポン酢とビニールと擂り粉木出して?」
ヒジオに出してもらった物をビニール袋に入れるように頼み、袋ごと擂り粉木で叩く。
ヒジオはフライパンの中を覗きながら、何故か股間を両手で押さえていた。
ちぎったレタスに袋の中身を開け、プチトマトを添える。出来合いのコーンスープをカップに入れてチンしてもらった。
ヒジオは私を抱えあげてソファーに下ろす。
そして料理をローテーブルに運んできた。
「カウンターチェアじゃ痛いだろうから、今日はここね。」
ソファーからテーブルまでが遠いと思ったら、ヒジオがお皿を持ってくれた。
「いただきます。でもヒジオも一緒に食べようよ。」
「食べれるよ?」
お皿を持ったまま、ヒジオはテーブルの自分のお皿に手を伸ばす。
アーチが長いからなせる技だ。