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きっかけは映画館
第32章 お仕事!!
確かに、市場や路地でワゴン販売してるスイーツをイートインにするという安易なイメージは出来ていたものの、具体化させることを考えていなかった。
「そうね、ヒジ…カタさんに至急連絡を取ってみましょう。いずれにしてもトートバッグのことも含め、△△商事に近々行く必要もあるかもしれないわね。」
本当に優希ちゃんは優秀で、代替案まで考えていた。
国内にいるヨーロッパ仕込みのシェフやパティシエでどうにかならないかと…
しかし、国内の店の宣伝を入れる等が必要だし、『本場の』という歌い文句は使えないだろうと…
ならば、イートインは諦めるしかないのかとまで考えていた。
まずは部長に報告を入れ、ヒジオに頼ることを正式な依頼とした。
部長には、素案が浅はかだから座礁するとお叱りを受けると思っていたが、『ダメ元で当たってみろ。』とか、『新しいものを生み出すにはそれなりの壁を越えなければならない。』と笑って背中を押された。
たかが四半期の催事場、されど、年商の数分の1となる重要な企画であるはずなのに、私達に任せてくれるのだ。
画期的な、斬新なアイデアのため…
それだけの頼りない私達を信用してしまっていいのだろうか…
取り急ぎヒジオにメールすると、ソーシャルアドバイザーの部署での保有データを当たり、その後、立花女史に探りを入れるとのこと、場合によっては緊急で打ち合わせが必要であり、どちらかの社で近々に話し合いたいとの返事があった。