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きっかけは映画館
第32章 お仕事!!
「麻里絵先輩…ランチ行きましょ?」
優希ちゃんは、フレックスランチの終了間際の14時前に声を掛けてきた。
もちろんそれまでお互いの集約作業などをこなしていて、企画部の人間はみな昼食を済ませていた。
「う、うん。」
「腹が減っては戦は出来ぬ。先輩、行きますよ?
血糖値が下がりすぎると思考能力も落ちるんですって…」
外に出ないでササッと食事してもと思ったけど、周りの人達も『気分転換が必要だ』と声を掛けてくれた。
優希ちゃんに手を引かれて社屋を後にした。
「先輩…土方さんと何かありましたね?」
優希ちゃんは離れた定食屋につくなり開口一番で突っ込んできた。
「へっ…なんで?」
別に隠すつもりはないけど、何も変わらないと思っているのに、確信をもって言い切られて、間抜けな返事になる。
「なんか肌艶いいし、土方さんとの連絡ってなっても、前みたいな遠慮とか戸惑いみたいなのがないし…
とうとう…シました?」
「え…あ、…まあ…」
「じゃあ、正式にお付き合い始めたんですね?」
「そ…そうね。」
「でも、まだヒジオって呼んでるんですか?」
「う…うん…」
「土方さんが可哀想ですよ。ちゃんと呼んであげないと…」
「でも、ヒジオも嫌がらないし…、ヒジオで慣れちゃったから…」
まるで、恋愛に関しては優希ちゃんが先輩のようで、ビシビシと言われてしまう。
「先輩、また水曜日飲みませんか?もっと詳しく聞かせてください。」
「でも、晃くんに悪いじゃない。」
「じゃあ、女子トーク終わったら時間差で男性陣を呼びましょう。
土方さんにも、仕事終わったら来ていただくよう話しておいてくださいね。」
「え…え、あぁ…う…ん…」
「企画も頑張っていきますよ。」
完全に優希ちゃんに仕切られてランチタイムが終了した。