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きっかけは映画館
第33章 ヒジオ来訪
「ヒジ…カタさん、それは例えば、フェアで人気の出たスイーツを奇数フロアに常設するとか、うちを日本進出の取っ掛かりにとか?」
「まあ、俺も想像でしかないけど、三者というのは、その場かぎりで利用するというのでは、ヨーロッパ側の旨味がなさすぎるのではと思ったんだけど。
それがヒントなのかはわからないんだけどね。」
「でも、やれる限りのことをやらないと、立花女史には勝てませんよね。」
「優希ちゃん、別に勝負じゃないわけだし…」
「そうそう、別に立花女史が女性バッシングばかりしている訳ではありませんよ?
むしろ頑張っている女性に対しては、普段以上に協力的です。
だから、すぐに会いたいと言ってきてるのです。
業務はいつも通り忙しいのに。」
「それで、どうすればいいのでしょうか。」
「さあ、立花女史の希望はそれ以上はありませんでした。
ただ、前回彼女は、その場で出来るだけの準備をして商談に挑んでいます。
ですので、お二人も現状提示できる資料をご準備いただいた方がよいのかと…」
「わかりました。出来る限りのことをしてみます。」
「えっ…ええ?もしかして、もう終わり?」
「そうね、優希ちゃんやることは沢山あるのだし、土方さんこそ、予定外で時間を取っていただいているのだから…」
「わかりました。
土方さん…明日の夜、空けておいてくださいね。」
優希ちゃんの一言にヒジオが苦笑する。そして、一呼吸おいて、
「かしこまりました。」
と笑顔で答えた。
そして部長を部屋に呼び挨拶を交わして打ち合わせは終了した。