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きっかけは映画館
第7章 映画のあと
俺はとんでもないミスをした。
映画館なんてガキの頃に親に連れてってもらったきりで、背もたれの番号が席番号だなんて知らなかった。
サイトとは全く関係ない女性とは知らずに、濡れ場の度に結構エロいことしちゃった。
でも、可愛かったし反応も悪くなかったし…
間違いを女性に指摘されても、どうしても一緒に飯が食いたかった。
サイトの女性が来ていなかったからじゃない。
もし来ていて、すっぽかすことになっても、彼女と行きたい。
でも、偽サイトだったのかな…
それとも怖じ気付いたのかな…
とにかく、サイトの女性とは縁がなかったんだし、
間違えて痴漢呼ばわりされても、彼女とは出会う運命だったんだ。
ラブストーリーを一人で見に来るなんて、絶対フリーだろうし、めっちゃタイプだし、手厳しい切り返しも面白い。
俺は恥の上塗りをしてでも絶対に彼女とお近づきになりたいと思ったんだ。
「はぁぁ…うるさい、お腹空いた。
連れてってよ…
ただしご飯終わったら、別々に帰る。
それが絶対に守れるならいいわ。」
くるりと踵を変えて彼女が言い放つ。
マジ?ヤベッ…
「守るから、ご馳走するから、行こう?」
なんで彼女の気が変わったかわからないけど、絶対に飯に行きたい。
お詫びもしながら彼女のことをもっと知りたい。
「じゃあね、こっち…
逃げないでついて来てね。」
「逃げないわよ。しつこく追っかけられるのイヤだから…」
何かストーカーみたいに言われたけど、また気が変わらないうちに…
俺は彼女がついてくるかチラチラ確認しながら予定の店に向かった。