- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
きっかけは映画館
第36章 女子バナ
コンコン…
「失礼します。」
「きゃぁ…噂をすれば、土方さんだ。」
「ヒジオ…」
「何々?噂って…」
ヒジオは私の隣に座りぴったりとくっついてくる。
頼みながらやって来たのか、すぐにビールが運ばれてきた。
「打ち合わせ成功に乾杯〜」
「土方さんと麻里絵先輩の恋に乾杯〜」
二人別々の台詞に皆で笑った。
「今日は二人で一緒の家に帰るんですよね〜、どっちの家に帰るんですか?」
ブフォッ…
いきなりの優希ちゃん攻撃にヒジオが吹き出す。
「優希ちゃん、そんなことまだ決めてないわよ。」
隣でヒジオがしゅんとしたのがわかった。
「家のが近いし、広いし、バイクがあるからね、帰るなら家かな。」
「土方さんのお家どんな間取りですか?」
「2LDKS。」
「じゃあ、そのまま棲めるじゃないですか。」
「まあ、そうだけど、それは麻里絵ちゃんの気持ちもあるからね。」
「麻里絵先輩、早く一緒に棲んじゃいましょうよ。」
「こらこら、優希ちゃん。それは当人同士の話だから。」
「そうですけど、先輩が土方さんと付き合ってからとても幸せそうで、仕事も順調だし、充実してる感じ?
だから、土方さん、しっかり繋ぎ止めておいてくださいよ?」
「言われなくても。」
麻里絵ちゃんは優希ちゃんにたじたじ…といった感じだが、優希ちゃんに、付き合ったことが麻里絵ちゃんの為にも良い結果になっていると認められたことが嬉しかった。