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きっかけは映画館
第37章 同棲?同盟?
「たらいま〜」
俺より先に入って部屋に叫ぶ、麻里絵ちゃん。
このままベッドにダイブだけは回避したい俺は、
「軽く飲む?」
と薄い焼酎、緑茶割りを作ってソファーに座らせた麻里絵ちゃんに差し出した。
「うん、ありがとー、ヒジオ。」
テレビと天井の中間くらいを見て、ふわふわと答える麻里絵ちゃんだけど、それでもいい。
さっさと部屋着に着替えると、麻里絵ちゃんも部屋着に着替えたのでしめしめと思う。
「かんぱーい。」
ほぼお茶のグラスをぶつけて麻里絵ちゃんは一気に飲み干した。
「ヒジオ、これ薄〜い。」
「そう?じゃあ作り直すわ。」
麻里絵ちゃんからグラスを受け取るが、もちろん濃くするわけがない。
「麻里絵ちゃん酔っぱらってるから、お酒が薄く感じるんじゃない?」
言えばチビチビ飲んでは首を傾げる麻里絵ちゃんが可愛くて仕方なかった。
「ヒジオは同棲したい?」
例え麻里絵ちゃんの記憶がなかったとしても、ここは真面目に返事したかった。
「したいよ、でもそれよりも早く結婚したい。」
「なんで結婚したいの?」
「ん〜…」
「家事をしたりご飯作って貰えるから?」
「違うね。」
「じゃあなんで?」
「ずっと一緒にいたいから…」
「じゃあ同棲でもいいじゃん。」
「いや、同棲と結婚は違うでしょ?」
「一緒にいるという意味では同じじゃん。」
「じゃあ麻里絵ちゃんは結婚したくないの?」
「そうじゃないけど、人生まだ決められないじゃん。」