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きっかけは映画館
第37章 同棲?同盟?
駅前に向かって角を曲がると、だいぶ先にヒジオの姿が…
背が高いから一際目立ってすぐ見つかる。
小走りして追いかける、ヒジオも一人で歩いていた。
「はぁ…はぁ…ヒジオ…」
「麻里絵ちゃん、走ってきたの?」
「うん…角でヒジオを見つけたから、」
「電話くれれば止まったのに…」
「あ、そうだよね。思い付かなかった。」
やっばい、麻里絵ちゃんが追いかけてくれるなんて、めちゃ嬉しい。
本当は手を繋いで歩きたいところだけど、会社の近くでは遠慮モードと決めたから、並んで歩いた。
「ねぇ、ヒジオ…今日何を作る?何食べたい?」
何だろうこの会話、もうそれだけで幸せ満腹。
「ヒジオ?」
「う〜ん、何も考えてなかったからなぁ。麻里絵ちゃんの作るものなら、何でも。」
「そういうの一番困るぅ。」
「だよね、でも料理よくわからないから、簡単に作れるものとか知らないし。」
「別にそんなこと考えなくていいわよ。一緒に作るんだし。」
「じゃあハンバーグ。」
「ならば、ひき肉と玉ねぎを買わなきゃね。」
「土方さん…」
後ろから声を掛けられ二人で振り向くと…
肉食部の女…
げっ、また追いかけてきたの?
彼女もはぁはぁと息が上がっていて、走ってきたようだった。
「ああ…君…」
ヒジオは私の腰に手を回し、彼女から庇うように前に出た。
「本当に付き合い始めたんですか…」
ヒジオが腰に回した手でポンポンと合図を送ってくる。
黙ってて…ということかな…