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きっかけは映画館
第37章 同棲?同盟?


大皿に絵の具を置いたようにカラフルな前菜を取り分けながら食べていく。
味わいやら素材、調理法などを想像しながらサングリアを挟んで食べていく。

ちょっとしたゆとりの時間、気分、そんな些細なことで心が安らぐ。

メニューを一緒にみてピザとパスタを決めオーダーする。
麻里絵ちゃんの表情も柔らかくなった。

「ヒジオのことほとんど何も知らないよね。」

「職場や仕事の内容は知ってるじゃん。住んでるところも出身も…
他に何が知りたい?」

出身大学か?家族構成か?
別に隠すことは何もないけど、それって必要な情報かな…

「そう言われると、特にないのかな…」

「今の俺を知ってればいいんじゃないか?
必要なことは思い立ったらいつでも聞いてくれていいんだし。」

「そうね。」

「今、好きなのは麻里絵ちゃんで、これからも大事なのは麻里絵ちゃん。それは変わらないから…」

麻里絵ちゃんは近くのテーブルに人がいないかキョロキョロして、誰も俺達の話なんか聞いていないのに顔を赤くした。
そんなことで照れちゃう麻里絵ちゃんは可愛い。
だけど、言葉にしてきちんと伝えないと伝わらないと思った。

「わ、私もヒジオのこと…ちゃんと好きだよ。」

小さい声でさらに赤くなって答えてくれる麻里絵ちゃん。

やっぱりきちんと言葉にして良かった。


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