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きっかけは映画館
第37章 同棲?同盟?
お腹が満たされホッとする。家で麻里絵ちゃんの料理を食べるのも嬉しいけど、こうして、ゆったり食事するのも良かったんじゃないかな。
麻里絵ちゃんと手を繋ぎ店内をぶらぶらする。
「明日、落ち着いたところで、足りないものとか、食器とか買いにこようか。
一緒に少しずつ揃えていこう?」
「うん、楽しみだね。」
出口にある花屋さんで麻里絵ちゃんが足を止める。
「紫陽花を見ると、また梅雨の時期になるなぁと思って…」
「紫陽花買う?」
「え?」
「なんか家、殺風景だからさ。麻里絵ちゃん好きなの選んでよ。」
「でも…」
「梅雨でもさ、紫陽花があったら気分が変わるんじゃない?」
そういって店内に入る。
あれこれ見て、青の綺麗な額紫陽花を選んだ。
「でも…ヒジオの家なのに…」
「ふふっ、麻里絵ちゃん、二人の家だよ?まあ俺が住んでた家だけどさ、これからは麻里絵ちゃんの家でもあるんだから、一緒に住みやすいように変えていけばいいでしょ?」
「う、うん。」
紫陽花を持って一緒に帰る。麻里絵ちゃんの好きな場所にと、リビングの窓辺に置くことがようやく決まった。
「ヒジオ…お金のことなんだけどね。」
麻里絵ちゃんは本当に真面目だ。
生活費をどうするかが気になっていたようだ。
大した出費じゃないし、麻里絵ちゃんを養うくらい簡単なことなのだと説明するがなかなか納得してくれない。
結局、共通の財布を作ってどちらもそこから共通の出費に充てることにした。
それで麻里絵ちゃんの気が済んで、ここに居やすくなるなら、それでいい。
むしろ、帰りづらくなるなら、尚更いいと了承した。