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きっかけは映画館
第38章 きっかけは映画館
「何ですか?同居同盟って…」
「とりあえず平日は一緒にいようって、ヒジオの家に荷物だけ引っ越したの。」
「へぇ〜、土方さんもグイグイ来ますね。」
優希ちゃんはうって変わってニコニコといたずらっ子の顔をしている。
「そうよね、やっぱり急過ぎるわよね。」
「そんなことないですよ。麻里絵先輩、元彼と結婚を意識していたんでしょ?
年齢的にも、土方さんだって元々結婚を前提にお付き合い始めたんでしょう?」
「そうだけど…」
「どこか土方さんに問題あるんですか?」
「そんなことあるわけないし…
でもね、本当にヒジオでいいのか、自分から好きになったわけじゃないし、別れたばかりで利用してるようで…」
「先輩がそんなだから、土方さんもどんどん押すしかないわけですね。」
「え…うん…別に嫌いなところがあるわけじゃないし、好きなんだけどね…
何か罪悪感みたいな。ヒジオでなくてもこうなっているのかな、とか?」
「うん、だから土方さんがグイグイ来る感じでちょうどいいんじゃないですか?」
「そうなのかな…」
「うん、いいんですよ。」
と、腑に落ちないままに優希ちゃんに説得されてランチタイムが終了する。