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きっかけは映画館
第38章 きっかけは映画館


「おかずは買って来たんだね。ご飯は炊いてあるもんね。」

どれだけヒジオが気を遣ってくれてるかと考えるけど、ヒジオには敵わないとも諦める。

「麻里絵ちゃん、今日も忙しかったんだね。」

そういうヒジオこそ忙しかったんだと思う。
ヒジオにくるまれるようにして電車内を過ごせば、すぐに最寄り駅についた。

「ヒジオ…、ヨーロッパでは、テナント料って概念はあるの?」

つい、聞きたい事が言葉になっていた。



「麻里絵ちゃん調べたの?」

「部長にこちらから呈示できる条件を準備するように言われて、その中で慣習も調べることになると言われたけど、まだそこまでいかなくて…」

「そうか、基本的に欧米の場合は契約書に示してサインして合意って流れだからね。まずはこちら側の条件を出せればいいと思うよ。
それを土台に打ち合わせで追加条件を盛り込んでいくって具合だから。」

「では、その交渉もヒジオのところにお任せでいいの?」

「ああ、大丈夫だよ。交渉に入ったら、連絡を密にして、新しい条項が飲めるか飲めないかだけ返事をもらうようになっていくけどね。」

「そもそもの招致の条件になるシュミレーションを作っているんだけど。」

「うん、それは重要だね。」


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