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きっかけは映画館
第38章 きっかけは映画館
裕司とは仕事が忙しい…と話すくらいで、お互いの仕事の内容までは話さなかった。
だから、話題もなくなり、忙しくなれば会わずに、週末も互いの平日に出来ない用事をこなすだけ。
ヒジオとは仕事の関わりがあるからもそうだけど、いつも一緒にいたいと言ってくれる。
頼っていいと言ってくれる。
そんなヒジオとの生活を断る理由などないのだ。
「麻里絵ちゃん、愛してる。疲れてるとは思うけど、麻里絵ちゃんを抱きたい。」
いつものようにお風呂に一緒に入ると部屋着もパジャマもなくヒジオに抱き締められて言われる。
「麻里絵ちゃんから誘ってくれるの待ってたら、馬鹿息子暴発しちゃうから…」
「う…ん…」
そう言ってヒジオは腰を押し付けてくる。
馬鹿息子とやらは、もう硬く芯を持っていて私の下腹部に存在感を主張していた。
別に嫌な訳もなく、疲れてるからと思っているわけでもない。
単に恥ずかしいしどうやって持ち掛けたらいいのかわからないだけだ。
「ごめんね、我慢させてて…」
「いや、我慢しないから大丈夫。」
触れ合う肌の感触と温もりを確かめていると、耳元で囁かれてチュッとキスされ、耳殻をかじられる。
見上げればもう雄になったヒジオの瞳に仕留められ、抱え上げられて寝室に運ばれた。