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きっかけは映画館
第38章 きっかけは映画館
柔らかい…
たんぽぽの綿毛のような、子猫の産毛のような柔らかさに、温かいお日さまに包まれたようだった。
ん…麻里絵…ちゃん?
「ヒジオ…起こしちゃってごめんね。」
麻里絵ちゃんが俺の胸で頬をすりすりさせて、喉元に唇を押し付けていた。
「ん…いや、いいよ。寝すぎたかな…」
麻里絵ちゃんは、まだ俺の胸にすりすりして、首から顎へと唇を押し付けるだけのキスを繰り返していた。
麻里絵ちゃんから行動を起こすなんて珍しくて嬉しくて、微睡んだ気分のまま、それを受け止めていた。
麻里絵ちゃんはモジモジしながら顎から頬へと唇を移動させてくる。
なすがままに…麻里絵ちゃんが動きやすいようにコロンと背をつけると、ズリズリと這い上がって俺の胸に頭を乗せてきた。
麻里絵ちゃんの可愛いお尻を撫でながら、自分の上に麻里絵ちゃんを引き揚げて抱き締めた。
柔らかい小っちゃい麻里絵ちゃんは、くるくる機嫌の変わる猫のようだ。
麻里絵ちゃんが、また俺の胸ですりすりを始めて、ゆっくりと顔を近づけてくる。
積極的な麻里絵ちゃんなんて貴重だから、何も言わずじっとして麻里絵ちゃんに任せた。
「ヒジオ……ヒジオは優しい。」
ん…
麻里絵ちゃんが俺の顔の横に手をついて、俺の目を見て告げ、同時に唇を重ねてきた。
「ヒジオはいつも私を守ってくれる。」
ん…
チュッ…
柔らかい麻里絵ちゃんの唇が音を立てて離れていく。