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きっかけは映画館
第38章 きっかけは映画館
「おお?これまた、めんこい娘連れて…それで忙しかったんか…」
「うん…まぁ…そう、おやっさん、麻里絵ちゃん、やっと彼女になってもらえて…」
「副長…ダサダサだな。麻里絵ちゃん、こいつは気のいい男だけどな、まあ…最近の、なんだっけあれ、サラダ男?レタス男?」
「大将…それを言うなら草食系じゃないですか?」
「あ〜それそれ、なんだ、モヤシ男の親戚じゃねぇのか…」
注文もしてないのに生ビールがやってくる。
「あんたねぇ、彼女さん連れていくなら、お洒落なイタメシ?とかにすればいいのに…
あんな親父の目に触れされるこたぁないよ。」
置いてった女性はどうやら大将の奥さんのようだ。
「うっせぇ、ばばぁ、看板娘になるとか言うから使ってやったら、今じゃ見事に看板ババハンに成りやがって、おかげで腕だけで勝負する羽目になっちまっただろ?
まあ料理に罪はねぇ、何でも美味いから食べてってよ。」
喧嘩なんだか漫才なのか、夫婦ともに明るく大声で喋り店の雰囲気も明るくなる。
「おやっさん、焼き鳥、例のを頼むよ。
じゃあ乾杯。」
「乾杯〜」
グラスを合わせるとヒジオが傾いてきて、
「ビールは俺が飲むから好きなもの頼んでよ?」
と気遣ってくれた。
お通しなのか大きな皿にポテトサラダと千切りキャベツの山、どうやら取り皿代わりも果たしているらしい。