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きっかけは映画館
第38章 きっかけは映画館
ビールを飲みながらポテトサラダをいただく、惣菜の工場で作ったものでなく、手作りの温かみがあり、とても美味しい。
「凄く美味しいです。」
「あら〜こんな可愛い娘に言われたら嬉しいわぁ〜
キャベツもポテトサラダもお代わり自由だからね。どんどん食べて?」
「おめぇ、それじゃぁ、俺が焼いたもんが入らなくなるだろ?」
「あんたは網に乗せるだけで、焼いてるんは炭だろ?」
「おんめぇ…」
「おやっさん、ちげぇねぇな。」
大将、女将さんに混ざって常連客っぽいオジサンまで漫才に入る。
アットホームな雰囲気で楽しそう。
「へぃ、お待ち〜
置いただけの鳥串一丁〜」
大将はふてくされたフリをしながら、大しゃもじをこちらに向けてくれた。
「麻里絵ちゃん、これがね、俺の一押しの白レバ、せせり、ササミだよ。新鮮だから軽く炙ってあるだけの絶品。」
「新撰組副長、だから、しっかり火の通った焼き鳥だぜ?」
今や規制で刺身で出せないものもあるから、大将が気にして付け足すけれど、
胡麻油と塩、七味でいただくそれは、確かに絶品だった。
「ヒジオ、美味しいね。」
「俺はヒジオは焼いてないし、焼いたのは俺だ。」
「ふふっ、大将の焼き鳥美味しいです。」
「そりゃ当たり前だ。俺は置いただけだからな。」