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きっかけは映画館
第39章 おフランス
「お、もう浸かってるんだね。そうだ、試供品のバスソルトがあるんだよ。ちょっと待っててね。」
聞けばサンプルだの試し輸入などの商品が格安で手に入るらしく、モニターの役目も果たしているらしい。
今まであまり興味がなかったらしいけど、ここのところちょこちょこチェックして使えそうなものは入手しているらしい。
「地中海の塩湖のバスソルトなんだって、どう?」
「ハーブのいい香り、それにお湯がまろやかになった気がする。」
「うん、ぬるま湯にしてあるから、ゆっくり浸かって。」
ヒジオは体を洗い始める。そして私の背中の後ろに滑り込んできた。
優しく包まれて、湯の嵩も増し、リラックスし過ぎてうとうとしていた。
麻里絵ちゃん…
「麻里絵ちゃん?」
名前を呼ばれてハッとすると、脇の下を抱えられてザバッと湯船から出された。
「ん…」
「先に上がれる?」
「ん…」
寝ぼけてしまったが、ヒジオが湯船に入ってからそれほど時間も経っていないはず。
あまりの眠気に頭をバスタオルでくるんだままベッドにダイブした。