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きっかけは映画館
第39章 おフランス
ヒジオの会社の応接室で鞄部門の藤堂女史も含め五人で商談。
藤堂女史は立花女史が静としたら、動のタイプ。
感受性豊かなところは優希ちゃんと通ずるものがあるのか、すぐさま意気投合したようだ。
ヒジオの話では、藤堂女史は立花女史が妹分として可愛がっているとのことだった。
立花女史も合同で商談する必要はないはずだが、一緒にサンプルを手に取っている。
「どれをどのくらいオーダーするか…」
「納期はどのくらいかかりますか?」
「数量にもよるけど千で二週間くらいよ。」
「例えば最初、五千でオーダーして開催の状況で追加オーダーするとか可能でしょうか?」
「いけると思うわ。」
「じゃあ、麻里絵先輩、全柄、全タイプを均等にオーダーして、人気のものを追加オーダーする形でどうでしょうか。」
「いいわよ、それで…後は土方ちゃん経由で正式オーダー入れてくれればいいから…」
「それと藤堂さん、この一番大きいバッグだけマチを大きくして底布を丈夫なものにする、それの中に畳み入れるような形とかに出来ませんか?」
優希ちゃんは自分で用意したトートバッグを渡していた。
「特許とか取られているものだと真似出来ないんだけど…」
「かしこまりました。そこは私の範疇ですので、調べておきます。」
「土方ちゃん、使える男になったじゃない。」
藤堂女史がヒジオの首にぶら下がり、頬にキスする勢いで顔を近付けた。