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きっかけは映画館
第39章 おフランス


「新居とか考えてるの?」

またポツリと思い立ったように話す。

「今のままでもいいんですけどね。優希のところに僕が転がりこんだようにして住み始めたし、元々大学の近くとして選んだ場所ですから…」

「二人の職場の距離とか考えて入籍後に探してみようか、って話してます。」

「そっかぁ…」

きっと色々考えてしまっているんだろうな。

麻里絵ちゃんはポツポツと質問をしては返事に驚いたり、ぼぉっとしていた。

「麻里絵先輩は夏休みの予定とかあるんですか?」

「ヒジオとね、バイクで出かけて海からの日の出をみようって約束してるけど、具体的には決めてない。」

そして、優希ちゃんに質問されて、またそれにも考えていた。


「麻里絵ちゃん、もう結婚が決まったカップルと比べたって仕方ないよ。
俺らは俺らのペースでいけばいいんじゃない?」

「へ?」

「ただ、麻里絵ちゃんを思う気持ちは誰にも負けない自信はあるけどね。」

思いの一部を言葉にすれば、麻里絵ちゃんは照れて顔を真っ赤にしながらも、嬉しそうに頷いてくれた。

そんな麻里絵ちゃんに俺も嬉しくなって肩を抱いて引き寄せた。

「あ〜あ〜、ラブラブなところを見せつけられちゃった。」

と優希ちゃんが喜びながら突っ込むと、一瞬ピクッと反応するも、麻里絵ちゃんが俺の肩に頭を乗せてくる。

ああ幸せだなぁ…

と実感した。


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