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きっかけは映画館
第39章 おフランス
麻里絵ちゃんがイランイランのお香を焚いている。
俺は頭をガシガシと拭きながらうつ伏せになる麻里絵ちゃんに近づいた。
「麻里絵ちゃん、今日は楽しかったね。」
いかにもという話題は避けてベッドに上がり麻里絵ちゃんに近づく。
とりあえず泣くこともなく酔っ払わずに帰ってきた。
「うん、楽しかったし美味しかったね。」
麻里絵ちゃんからのオッケーの合図だから、特に確認しなくてもいいのだろうけど、ガッツく感じも情けない。
ベッドに寝そべり麻里絵ちゃんを胸に引き寄せた。
「ヒジオ?」
「ん…ヒサオね。」
「ん…ヒサオ…」
なかなか慣れないようだけど、二人きりの時は名前を呼んで欲しかった。
「ヒジオって呼んでも何も言わなかったから、」
「うん、呼び辛そうだったからね、でも本当はちゃんと呼んで欲しいし、麻里絵って呼びたい。
呼び捨てで名前で呼びあうって、何か特別な関係だからこそじゃない?」
「う…うん、そうだね。ヒサオって呼ぶようにするね。」
そう言って麻里絵ちゃんは俺の方にずり上がってきてキスしてくる。
可愛くて抱き締めて頭を撫でる。