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きっかけは映画館
第39章 おフランス


「麻里絵ちゃん…パリに出張になった。」

「え?」

「立花課長からヘルプが入ったんだ。」

「もしかして、今から?」

「そう、大きな市場での契約に駐在員だけじゃ足りないと…
それと契約時に細かい変更点があったら、麻里絵ちゃんとこの考え方をわかってて即答出来る俺が必要だって…」

「いつまで?」

「来週には晃君とことの打ち合わせがあるから、来週半ばには戻らなきゃ、多分向こうもギリギリまでいて戻って来るようになるけど、はっきりはしない。」

「うん…わかった。」

「それでね、本当はもっと前に、落ち着いて話してから渡そうと思ってたんだけど…
家のカードキー、渡しておくね、
家に帰ったりしないで、俺の家にいて欲しい。

スペアも一緒に持ってて良かった。

俺は今すぐ戻って支度して出なきゃなんだ。
もう飛行機も押さえられてるから…」

「食事は?」

「うん、ちょっと時間ない。空港か機内で摂るよ。」

「あ、あの、暗証番号は?」

「ああ、ラインする。」

「忙しいね、でも気をつけて…
留守番はちゃんとしておくから、任せておいて。」

「うん、落ち着いたらちょこちょこ連絡する。」


本当は、一緒に住む時にきちんと話をして渡したかったけど仕方ない。

しばらく麻里絵ちゃんと離れるから、ギュッと抱き締めたりキスしたかったけど、
立ち上がり様、麻里絵ちゃんの頭を撫でて店を出た。




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