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きっかけは映画館
第40章 日の出
確かに、レートは後続になるほど高くなるように設定されており、権利の転貸、商品の横流しが許されず、早く契約したものが有利に、そして××物産は損をしない契約になっている。
「ちなみに、今のレートは何番目ですか?」
「君たちが珍しい本場のものと認識したとおり、一番目だよ。過去に契約したことはあるよ、だけど上手く流通させられずに契約解除になってね、今契約が有効な取引先はない。だから、これが最安値のレートなんだよ。」
「ちなみに、契約から納品まで間に合いますでしょうか。」
「それなら大丈夫、毎週サンプル用に1000は輸入している。社内販売で消費せざるを得ない状況でね。それを止めればいいだけだし、増やしたければ翌週から変えられるよ。」
一通りの説明を受けて明日返事する旨を約束して帰社する。
「麻里絵先輩、私、あのおじさん嫌いになりました。」
「クスッ…優希ちゃん、彼も私達も仕事をしてるのよ。特約があることは立花女史から言われていたじゃない。」
「はぁ…立花女史が女神に見えます。」
「部長に判断を仰ぐ必要はあるけれど、契約の条件は飲めるものだと思っているわ。」
レートが割高、通常仕入値は売価の7〜8割になるところが、5%がさらに上乗せの手数料となる。
でもうちは新規店舗を構える必要もないから他のコストはかからない、一番目の契約で、老舗の商品が国内に初上陸するならば…
そして、ヒサオの会社と共に例え1商品でも協賛を謳うことは問題がないはず。
だから立花女史は××物産との交渉を試みるよう促してきたと思う。
そしてメーカーの名前を掲示するのは、商品が本家お墨付きとの刻印になるわけで、今やネットで信憑性の真価がわかるのだから問題ないだろう。