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きっかけは映画館
第40章 日の出
「間宮さん?」
誤魔化した方がいいのか、正直に答えるべきか悩んでいると立花女史の笑みが消えていく。
正直に…
それは立花女史へも、ヒサオへも誠意ある答えをするべきだ。
「商談で再会したのを皮切りに、お付き合いさせていただいています。」
「うふふ、間宮さん、私、土方君の母親じゃないわよ?」
「え、あの…その…」
「でもね、仕事とプライベートは分けて欲しいわね。特に土方君には。
○○デパートの仕事ばかり優先しているからね。
あなた…仕事と恋愛、どっちを選ぶ?」
怒っているのか表情を変えない立花女史の考えていることがわからない。
この答えで、応接の結果が変わるの?
フェアへの意気込み、裕司と天秤にかけた仕事、そしていつも私を優先してくれるヒサオ…
裕司の時に決められず別れという形で逃げた私…
仕事か恋愛か…
仕事かヒサオか…
答えを出さずに逃げているのだ。