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きっかけは映画館
第40章 日の出
晃君とテレビ局での打ち合わせ続きで久しぶりに会社に顔を出せば、立花課長が気味が悪いほどの笑顔で近づいてくる。
何かと思えば麻里絵の話、麻里絵には言わなかったけど、逃げられるなとか、今までの軽い感じが抜けたとか色々言われた。
藤堂課長にはサンプルチェックと会議室に呼ばれ、抱き着かれたので跳ね飛ばしたら、『麻里絵ちゃん一筋なのね。』と…
考えて見れば鞄の納品なんてとっくに終わってて、サンプルチェックなど要らなかったと後から気付く。
からかわれて終わる1日に、他の案件の残業を少ししてから退社した。
「ただいま…」
鍵を開けて入れば、美味(うま)そうな料理の匂い。
それに…
もっと美味そうな
エプロン姿の麻里絵…
キッチンに立つ麻里絵を後ろから抱き締めて、料理と麻里絵の匂いを堪能する。
会社でからかわれた話をしたけど、麻里絵は明日の旅行の心配をする。
絶対に行く。宿も予約したし、誕生日も、プレゼントも…色々予定があるんだから、
「「乾杯。」だけど、これ一杯だけね。そして支度してすぐに寝るんだから…」
麻里絵はずっと俺の心配をしてるが、麻里絵を喜ばせること、そして一世一代の大仕事があるんだから…
興奮して眠れそうになかったけど、麻里絵を抱き締めたらすぐに眠りについた。