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きっかけは映画館
第40章 日の出


「お日さまが溶け出したみたい。」

「すげぇ綺麗だな。俺も日の出を拝むなんて初めてかも…」

溶け出した中心が厚みが出て、太陽の端っこが見え始める。

「ヒサオ、出てきたよ。太陽。燃えてるみたい。」

麻里絵が繋いだ手をブンブン振って喜んでいる。

確かに、夕焼けは焼け落ちるように赤い時があるけど、朝日は輝いてる。溶けるほどに光輝いてまだまだ燃えていくような眩しさだった。

「黄金色に燃えてる、輝いてる。」

とうとう麻里絵は前の板から身を乗り出して眺めていた。


「なんかね、違うって習ってわかってても、この輝きを見たら、太陽って毎日こうやって産まれてきてるんだなって思っちゃう。うん、何言ってるかわからないよね。」

「わかるよ、本当は地球が自転してるけど、太陽の方が動いて、しかも毎日産まれてるみたいだって…
俺もそう思った。
新しい太陽が今、産まれてるみたいだって…」

出てくるまではじわじわと感じたのに、あっという間に半分ほど現れている。
そして、産み分けたかのように、海もそこだけ金色に輝いていた。


全て産まれるまでお互い無言のまま、手を握りしめていた。

「ああ…出ちゃった。」

麻里絵がポツリと言うのもわかる。上がった太陽は、もう当たり前のいつもの輝きになっていたから…



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