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きっかけは映画館
第41章 二人のための岬
「「いただきます。」」
食前酒で乾杯して箸をつける。
どこから手を付ければよいのか迷うほどだった。
「伊勢海老プリプリしてて甘いね。」
「麻里絵のほうがプリプリで甘いけど?」
ヒサオが真顔で言うから返答に困る。
あれこれ話しながら食べていく。
もう遠慮せずに食べていった。
「ふうぅ…美味しかった。もう、お腹いっぱいで動けない。」
「じゃあ、庭で少し涼もうか。」
ヒサオに勧められるけど、庭はライトアップされているわけでもなく真っ暗だ。
縁側に足を投げ出しゆったりする。隣でヒサオが時間を気にしているように思えたけど、尋ねる間もなくそれは始まった。
ドォーン…
空が鳴り響いたと思いきや、目の前の竹林から一本の光の筋が競り上がる。
あっと思ったら、
パァーン…
と弾けて大輪の華が宙に咲く。