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きっかけは映画館
第41章 二人のための岬
この旅行全体が誕生日祝いとプロポーズなんて、贅沢過ぎて申し訳なくなる。
でも、その気持ちをちゃんと受け止めることがヒサオに返すことだと思って包みを開けていった。
「わぁ、あの花のネックレス。凄く素敵。」
ローズガーデンで見つけた花、ブレスレットとお揃いで、金であの薔薇が細かく細工され、連なっている。薔薇がチェーンになっているネックレスだった。
「フランスの市場の近くにね、金細工の工房があって、好きなデザインで作ってもらえるんだ。だからスマホの写真から、麻里絵の薔薇で作ってもらったんだよ。世界に一つしかないオリジナル。」
「凄い素敵ね。」
「着けてあげようか?」
「うん…」
麻里絵は鏡の前にいき、俺がネックレスをつけると、一つ一つの薔薇を確かめるように撫でていき、うっとりと見ていた。