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きっかけは映画館
第41章 二人のための岬
「麻里絵、愛してる。もう離れたくない。」
「ありがとう…私も…ずっと一緒にいたい。」
難しく生真面目な麻里絵には単純な言葉で気持ちを純粋に伝えるしかない。
そうしないとあれこれ考えてしまうから…
そして気持ちは止められず、覆い被さってキスをする。麻里絵の手が俺の首に回り、応えてくれていると知る。
紺色の浴衣が麻里絵の肌を一層白く輝かせ、早く全てを見たいと思うのをグッと堪えて、優しく肩を撫でた。
「ヒサオ…そのクルクル好きね。」
「ん…?」
無自覚なのだ。触れたくて逸る気持ちを抑えているうちに自然としているようだが、麻里絵曰く俺の癖のようだ。
撫でた肩から手が離せなくて、言われて見れば、肩の丸みに沿って指先でクルクルとなぞっていた。
「ん…クルクルが好きなんじゃなくて、麻里絵が好きだからこうなっちゃうんだよね。」
「ふふっ。」
麻里絵に余裕の笑みが浮かんでいるように見え、悔しくなる。俺はこんなに余裕がなく麻里絵のことを思っているのに…
麻里絵をヨクしてやりたい、余裕なく鳴かせてみたい、抑えていた気持ちが溢れて、金の薔薇が揺れる首筋に噛みつくようにキスをする。