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きっかけは映画館
第41章 二人のための岬


「とっても素敵な宿だったね。」

あのあと汗を流しにもう一度風呂に入り、朝は黄緑の爽やかな着物に包まれた麻里絵とのんびり朝食をいただく。

麻里絵は大満足で宿を後にした。

今日がラストの大仕事。
麻里絵は何かが足りないと気づいていないようだ。

またバイクで目的地までくっついて向かう。


「土肥金山?」

「そう、昔はここで金が取れたんだって、今は体験だけどね。」

当時の発掘の様子などを見学し、砂金取り体験に向かう。

へりが斜めに広がった大皿で水中の砂を掬い、選り分けて砂金の粒を探すのだ。



時間をかけて選り分けても粒がない時もあれば大きいものや、何粒かが見つかる時もある。

「ヒサオ上手だね。私全然だわ。」

ヒサオが4粒見つけたのに私はまだ1粒だ。

「私の所にはないのかなぁ。」

「底の方の砂を掬ってみたら?」

ヒサオが手を止めて砂を掬うのを手伝ってくれた。

そんなに数にこだわっている訳じゃないけど、不器用みたいで嫌だった。


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