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きっかけは映画館
第41章 二人のための岬
「麻里絵、回すのが大きくて溢れてしまってるんじゃないか?静かにゆっくりだよ。」
ヒサオが皿を一緒に持ってゆっくり回すタイミングを教えてくれた。
最初の説明でも、重い金が底に溜まるのを待つようにと言われていた。
今までも注意してやっていたけど、もっとゆっくりと回していく。
すると砂の中で金色のものが光ったように見えた。
「ヒサオ、今光ったよ?」
「本当?そんなにすぐに見えないよ。慌てずゆっくりとね。」
夏休みだからか、周りには子供も沢山いて騒いでいる。大人は…物静かにだけどやっぱり皆盛り上がっていると思う。
「ほら、また光った。手で掴めそうだよ。」
「まさか、そんな大きなのはないでしょう。他にもあるかもしれないし、今まで通りに慎重にね。」
ヒサオに言われてゆっくりと回していく。
「でもやっぱり大きいよ。」
私はゆっくりお皿を水中に置いて、さっきからピカピカしているところに指を入れて探った。
ヒサオは子供を見守るように、手を止めてこっちを見ていた。