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きっかけは映画館
第41章 二人のための岬
手に取った指輪をサッと水で濯ぎ、ヒサオが私の左薬指にそれを填めた。
「うん、ピッタリだ。」
そう言って取られた手の甲にキスされる。
薬指を見ると、ネックレスと同じ薔薇が並んで一周していて、中央の薔薇は宝石で出来ていて赤に輝いている。その両脇の薔薇も縁取りのピンクの部分に宝石が使われていた。
「ヒサオ………ありがとう。」
周りの拍手が盛大になる。
「麻里絵の誕生石のルビーなんだけど、サイズ合ってて良かった〜。」
観衆に照れるヒサオがホッとしたのがわかり嬉しいが恥ずかしい。
ちょうど時間になり、取れた砂金を小瓶に詰めてもらい、周りに会釈しながらその場を去った。