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きっかけは映画館
第11章 仕事
優希ちゃんは優秀で、テキパキと仕事をこなし、夕方には決裁文書が仕上がっていた。
初めて作るから仕方ないけど、凄く緩い感じで、
【件名:××物産、△△商事視察
目的:オータムフェア企画のため
日時:相手方次第】
とても、とても分かりやすいけど、視察って上層部が行う上から目線のもの言いだし、会社全体じゃなく商品に合わせた部署を絞りこまなきゃだし…
取引先ファイルを開き、二社の組織図から目的部署を絞る作業を行った。
優希ちゃんと二人で…
「××物産は地域ごとの分担で組織されてて、△△商事は商品ジャンルごとなんですね。
じゃあ、××物産はヨーロッパで、△△商事はスイーツと貴金属で…」
「優希ちゃん、△△商事も一つに絞って…」
「じゃあスイーツで…」
こうして何とか本日中に決裁が上がり、明日交渉部が日程調整に動いてくれるのだ。
はぁあ…
優希ちゃんを帰して更に煮詰める。
コンセプトを決めるのはウチだ。闇雲に商品リストを見るだけでは決められない。
ホームページから得られる2社の2部署の情報をマークして優希ちゃんのパソコンに転送する。