- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
きっかけは映画館
第13章 金曜日
鍵を閉められるとか、急に酔いが醒めるとかもなく、麻里絵ちゃんは座らせたままの格好で玄関口にいた。
抱き上げてソファーに座らせ、水を飲ませる。
「シャワー浴びる。」
少し落ち着いたのか、それだけ言って麻里絵ちゃんはバスルームに消える。
さて、どうしたものか…
上着とネクタイをソファーの背もたれに掛けて、俺も水を飲んで酔いを醒ました。
スウェットの上下で戻ってきた麻里絵ちゃん。
フラフラはしてないけど、どこか酔っているようにも見える。
たぶん明日には今の記憶はない。
定まらない視線を見て、そう思った。
「ヒジオの着替えも今出すから…」
はっきりとヒジオと言うから元彼と間違えてはなさそうだ。