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きっかけは映画館
第14章 謎のツケ
これは夢?
裕司が帰ってきてる。
家に来たとき着ているスウェット…
裕司の胸に顔を埋めた。
裕司のスウェットの…
いや、裕司じゃない匂いがした。
誰?
私はびっくりしてそこから離れた。
「………麻里絵…ちゃん…」
「ヒジオ〜、何でここにいるのぉ…」
私は跳ね起きてベッドの縁に逃げてヒジオを指差した。
ヒジオが裕司のスウェットを着て、私のベッドに寝ている。
クローゼットが開いたままで、封印した『裕司の段ボール』が開いている。
『ヒジオには…小さいかなぁ…』
私の声…
私がヒジオに…
裕司のスウェットを着させたんだ。
「ごめん…」
謝ろうとしたらヒジオが謝ってきて…
ガバッと起きてスウェットを脱ぐ。
「ギャアアアア…何、何、何〜?」
いきなりパンツ一丁になるヒジオに叫んで顔を手で覆った。
「ごめん、これ、元彼さんのでしょ?もう脱いだから、布団被ったから…
麻里絵ちゃん…こっち戻ってきて…」
恐る恐る見ると、ヒジオが布団にくるまっている。
「てか、それ、私の布団〜。」
「だから、こっちきて…」
布団を捲って隣をポスポスするヒジオ…
あ…昨夜…私がそうやって、ヒジオを呼んだんだ。
「俺、あんま寝れてなくて…、頭痛い。もう少し寝させて…
何もしないから…」
そう、まだ5時台だと思う。まだ薄暗いから。