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きっかけは映画館
第14章 謎のツケ


ガチャ…

麻里絵ちゃんが、スウェットのまま出てきて、
「ご飯食べてく?」
なんて言うから、

「いただきます。」
ソッコーで答える。

麻里絵ちゃんとずっと一緒にいたいもん。それ以外の返事があるわけない。

洗面所を借りて顔を洗ってさっぱりすると、ダイニングテーブルに腰掛け、キッチンにいる麻里絵ちゃんを見る。

何だか忙しなく動く麻里絵ちゃんを見て、
結婚したら、毎日こんな麻里絵ちゃんを見られるのか〜
とか考えたら、だらしない顔になっていると、自覚する。

「ヒジオって、ずっとソーシャルアドバイザーなの?」

「ああ、そうだよ。」

麻里絵ちゃんは顔を合わせなくて済むからか、一杯質問してくる。



「一人暮らししてるの?」

「うん。」

「実家って遠いの?」

「愛知、麻里絵ちゃんは?」

「私は…神奈川…」

「へぇ〜神奈川のどこ?俺は名古屋。」

「私は横須賀。」

会話のバトンが逆転した。

「あのさぁ、麻里絵ちゃんの彼ってゆうじっていうんだろ?長い付き合いだったの?」

何となく聞いてしまった。中途半端に知らされた『ゆうじ』の存在に嫉妬していたから…

ゆうじのスウェットがあって、ダブルベッドが置かれた寝室。

同棲か、そうじゃないにしてもかなりの深い関係。


聞いてしまったことにより、映画と同じく元彼元カノの影を落としながら怯えることになるなんて、考えもしないで…




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