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きっかけは映画館
第14章 謎のツケ


「ヒジオと同じだよ。大学時代から付き合ってた。
就職もこっちだから、そのままズルズルと…
でもね、裕司は転勤があるから、いつかは…って、
それで転勤の予定がはっきりして…別れた。」

「ふうん…別れる理由がわからないけど…俺ならずっと一緒に居たいし…居られる方法、考えるけどな…」

だから、最初の日に麻里絵ちゃんは俺の遠距離のこと訊いてたんだ。

「じゃあ、ヒジオは、遠距離してた元カノと、一緒に居られる方法を考えなかったの?」

「そうかもな。お互い自分のことに精一杯で、相手のことなんて考えてなかった。ただ時間を作って会うってことにこだわり過ぎて…

大事なこと見えなくなってて…
束縛し合って窮屈になって…
それで…実は…好きな気持ちも、
わからなくなっちゃってたんだろうな…」



「裕司はね、まだこっちにいるの。私が仕事をやめてついていくか、別れるか…

選択を迫られて、私が仕事を選んだの。
返事をした日にお別れ。
まだこっちにいるのにもう会わないって…」

「そいつ、偉いな。ズルズル会うとかしないなんて…」

「そうかな…偉いのかな…」

「俺なら、麻里絵ちゃんを嫌いになったわけじゃないんだし…
ギリギリまで一緒にいてくっついていたい。」

「そうか…映画を見て悲しくなっちゃったのはそれかな…」

「え…」

「長く付き合ってるうちにね…
一緒にいたいって気持ちが薄れてきちゃったのかもしれない。

そのくせ、結婚するんだろうって勝手に思い込んでた所もあったんだよね。」

「うん…」

「そんな中途半端な気持ちじゃいけないんだって、映画に知らされて…悲しくなっちゃったのかな…。」


「麻里絵ちゃん…話の途中だけど…焦げ臭くない?」



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