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月下の幻影
第1章 月下の幻影
真琴は動揺が収まるまで、浜辺で休むことにした。青年も付き合うと言い、二人は並んで夜の浜辺に腰掛けた。
波が押し寄せ、そして引いていく。
ザァ……ザァ……
永遠に止むことのないその音は、不思議と真琴の激しく混乱した心を落ち着かせた。
「……さっきの男の子はさ、実は誰の目にも見えるわけじゃないんだ」
「……え?」
青年は目を細め、柔い表情で頷く。
「心に闇を抱えた人間にだけ、見えるんだ」
真琴はどきっとした。
「君は……とても悲しい目をしているね」
「ねぇ、君は……何を抱えてるんだい?」