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月下の幻影
第1章 月下の幻影
「そ、そういえば……あ、あなた……」
真琴はすぐ隣に立つ青年を見上げた。
艶のある美しい濃紺の髪に、それと全く同じ色の瞳。
白い肌はまるで陶器のようで、彼の整った顔立ちを引き立てている。
先程までは動揺していて全く気付かなかったが、とても美しい青年だった。
「あなたは……ここの地元の人、なの?」
「……うん。そう」
「さっきは、ありがとう……。おかげで……死なずに済んだわ」
「いいえ。君が死ななくて……僕も安心した」
青年はほっとしたのか、頬を緩めてそっと微笑んだ。