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50センチの距離
第29章 年越し蕎麦 ーコウスケとの関係ー
「今実家だよ。」

『あー、帰ってんのか…』

「お前は?大阪?」

『んー、だってエリ休みないもん。1日だけだからさ、エリが仕事行ってんのに俺だけ実家帰るワケにいかないだろ。それにそっち帰ってなにがあるってモンでもないしな。親父の仕事がこっちメインになったからお袋もしょっちゅう来てるし。』

「そか」

コウスケの親父さんは大手の商社勤務で。昔は東京勤務だったから母方の実家の近くに家を建ててお袋さんと子供たちだけで住んでて、親父さんは年に2〜3回帰ってくる人だった。それがコウスケが独り立ちしてから大阪勤務に変わったらしく、大阪に社宅のマンションがあって、お袋さんがそこに泊まりに来ては大阪観光してる、とコウスケがボヤいてた。っつってももう親の年代的にあと何年もせずリタイアなんだろうから社宅があるのも今のうちだけだし、好きにさせてやれよ、とも思うが。そしたら今度はオレんとこ来そうでヤなんだよ、とか言ってたっけ。確かに彼女と同棲してる部屋にオカンが来るとかイヤかもな…ふふ、と笑うと、

『要件それだけ? 今TV観てて…もう切るよ?』

「おう、またな」

『へぇーい、良いお年を〜』

こんな気の入ってない良いお年をって聞いたコトねぇな、と思うくらい投げやりな一言を最後にプツ、と通話が切れた。
会って喋っても電話で喋っても、結局お互いつっけんどん、てか別に仲良く出来るわけじゃない、なのに、切れることもない。俺とコウスケの関係は…
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