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50センチの距離
第37章 フレンチトースト & クロックムッシュ
結局、「Con amore 」(愛を込めて)だけ端折って、「da Chica a Show」(チカからショウへ)の部分だけ残すことにした。

バレンタインは平日だから、ソレより1週間早い金曜日。
いつものように金曜お泊りコースで、私は会社にスポーツクラブに行くような荷物を持って出勤する。
デスクの袖机、ひとつの下段は私物の荷物入れとして使ってるからバッグをぎゅうぎゅうと詰め込んだ。
荷物と格闘してるとそばを通った村上さんが、

「すごい荷物…旅行?」

「いえ、帰りにジムに行くんです。」

「あぁ、近くの?へぇ、あそこどうなの?」

どう…って言われても…お風呂入りに行ってるだけだから中の設備とかロクに見てないんだけど…そんなこと言えない…

「至ってフツー、ですよ?」

「そっか。わざわざ行く何かがあんのかと思った…」

ジムにわざわざ行く何かがあるんではなく、その後に行く彼の家にお風呂が無いからです、なんて会社で話す内容じゃない…アハハ、と笑って誤魔化した。
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